いろいろ備忘録 ー 西口一希

停止中だったブログですが、引っ越して再開することにしました。

無意識の解明 ー 西口一希

無意識の作用の理解は、この15年くらいにかなり進歩しています。fMRI(機能的MRI)という脳の血中の酸素レベルがリアルタイムで測定出来る機械が発明され、これによって五感を通じた刺激と、脳の活性との関係性の一部が明らかになってきているのです。

 たとえば、人に恋したときに機能している脳の部位、悲しみを感じた時に機能している部位などがわかります。この技術の適用は、医療分野から始まりましたが、今は、宗教的体験、人種偏見、政治選考、さらにはブランド選好測定などについても、人の反応を調べる目的で使われ始めています。

しかしながら、五感へのどのような刺激が、どのように統合されて、脳で処理されて、その脳の部位反応になるのか? そしてその部位反応が、その人の感情、行動にどのようにつながるのか? までは、まだまだ未知の部分が多いようです。日本の大手広告代理店さんも、fMRIを使ったニューロマーケティングなどを仕掛けておられましたが、ビジネス化には至ってないようです。

私が、無意識の分野に興味をもったきっかけとしての、興味深い実験結果があります。

 脳は未開部位が多いものの、悲しみを感じた時に反応する部位だけはおよそ分かっているようで、米国で、この部位に電気刺激を与えた実験があります。刺激を与えると被験者は、泣き出してしまいました。落ち着いたあと、被験者に覚えていることを尋ねると、とにかく悲しかった、”かくかく云々”で、非常に悲しかった、と。もちろん”かくかく云々”など理由は存在しておらず、あったのは脳への電気刺激だけです。

 つまり、脳の悲しみをつかさどる部位への反応によって引き起こされた”泣くという行動”に対して、後解釈を付け加えた、ということです。これが、無意識と意識の関係を示唆しているのです。まだまだ未知なことばかりですが、明らかに、無意識の作用を理解しておくことは、ビジネス、もちろん日々の社会生活を営むうえで重要だと思います。


西口一希