いろいろ備忘録 ー 西口一希

停止中だったブログですが、引っ越して再開することにしました。

無意識への共感 ー 西口一希

会ってもない人への、無意識への共感はできませんが、”意識的”に、お客様の”無意識に共感”出来るように努めることが、マスデータを集めるよりも、間接的なヒアリングをするよりも、はるかに大切だと思います。

70歳女性向けの商品開発であれば、私は実家に帰って母親と時間と空間を共有して、色んな話をしてみたり、日常の行動に付き添って、そこから必要なもの、喜んでもらえる事を想像するのが一番近道だと思います。もちろん、あくまでN1(一人)でしかないので、統計学的にマスとしての代表性などありませんが、それが最も効果的に思います。

よく言われる、インサイトの重要性と同じだと思います。

統計学的なデータや分析が要らないのではなく、それでは不十分だということです。共感は、人間同士の、リアルな接触、コミニケーション、空間と時間の共有からしか生まれません。それなしにビジネスが上手くいくこともありますが、それは、ラッキーだと認識したほうがいいと強く思います。そのラッキーを才能だと見誤ると、一発屋になりかねません。

基本的なことですが、調査や質問をすれば、お客様は、”意識(左脳・論理)”をフル回転させて、ほぼ確実に間違った答えをくれます。つまり、実際には、無意識的には取らない行動、選択であっても、意識(左脳・論理)を駆使して、”こうあるべきだ”的な答えを出します。本人も、嘘をついているつもりはありません。むしろ自信満々に説明してくれます。

これに喜んで乗っかると、大きく裏切られることが多いです。

例えば、洗剤の環境汚染問題に関して聞くと、ほとんどお客様は、”多少、汚れ落ちが悪くても環境にやさしい洗剤を買う”、”多少高くても買う”、、、なんて、答えをくれます。これに乗っかって、散っていった商品の数知れず、、、量的調査だけでなく、フォーカスグループなどの質的調査でも、このたぐいの意見(答え)が量産されます。というかほとんど”穢れのない嘘”だと思います。

本当に、理解(共感)すべきなのは、お客様の”意識的”意見や行動の背景に隠れた、しかしながら実際の行動を左右する”無意識”の中身です。そこから新しい価値創造、解決提案を見出さないといけない。

そういう意味では、マーケッターとは ”お客様と共感しあって、解決策を見出すことが出来る、心理カウンセラーならぬ共同クリエーター”なのでは、と思います。

 

西口一希