いろいろ備忘録 ー 西口一希

停止中だったブログですが、引っ越して再開することにしました。

無意識の中身 2 ー 西口一希

”体の五感”を通じて入ってくる外部からの刺激を脳が捉えて、様々な連想を作って行きます。また、その連想に見合う働きとして、脳がアドレナリンなどの体内ホルモンを分泌させたり、血流・脳神経細胞への電気信号・呼吸・脈拍・筋肉の緊張弛緩を左右し、人間の行動や感情を左右するのです。

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プラセボ効果といった言葉があるのですが、”病は気から”などという言葉を裏つけるような実験結果がたくさん存在します。医者が、薬効のない偽の薬を、非常に効く薬だ、といって患者に服用させた場合、ほとんどの患者が効いたと認識し、その多くが実際に治癒したといった実験結果です。逆に、医者が、薬効のある本物の薬を、効かないと偽物だといって患者に服用させれば、効かなかったといった結果もあります。いろんな実験がありますが、およそ薬の効果の半分はプラセボと言われています。

脳的に考えると、被験者の、医者という言葉とビジュアル情報、薬、効くという言葉といった情報にまつわる過去体験が一定の情報連想を脳内に形成しており、過去に“効いた・治癒した”とおいう快感体験、感動体験が残っていれば、医者+効く薬といった情報で、その連想が刺激され、脳のフィードバックとしてホルモンバランスや感情や肉代行動を左右して、実際の肉体の自然治癒力を増幅させていると思われます。

別の例で考えると、初めてのスノーボードで、ベテランの友人に山上に連れて行かれて、いきなり、勢いよく顔から雪の中で突っ込んでしまって、顔から”冷たい”という皮膚刺激が入力された際に、“痛い”といった肉体刺激や、意識でコントロール出来なかったという“不安”が、同時に入力されると、それらの環境から得られる情報も同時に処理され、“雪”、“冷たい”といった連想に”不快”という肉体感覚も、その連想に含まれてしまいます。

結果として、その”不快”連想の状態に見合う、ホルモン分泌・血流・脳神経細胞への電気信号・呼吸・脈拍・筋肉の緊張を起こし、私たちの行動・気分・感情をも左右しています。この後に、このネガティブな連想を上回るような、快感連想が、作られない限り、これで雪山やスノーボードが嫌いになります。

また、顔を冷たい水で洗うたびに、不快な気持ちになるかもしれません。冷たい水で顔を洗うたびに、その連想と脳のフィードバックが活性化されて、雪山ではなくても、“不快”感情が起こり、筋肉が硬直し、行動として身を小さく屈め、姿勢が悪くなったりします。これらは無意識に起こり、ひょっとすると、肉体の緊張の結果、肩がこる、という肉体・行動変化につながるかもしれません。

冷たい水で顔を洗う習慣を続けることによって、このフィードバックが続いてしまって、結果、肩こりが起こるかもしれません。慢性的に肩こりがひどい方の、原因は、こういった過去経験による無意識下に蓄積された思いもよらない情報連鎖にあったりするものです。

催眠療法といった医術がありますが、催眠術で、この”冷たい”という皮膚刺激をポジティブに変えることもできます。あたかも顔面への“冷たい”刺激が、熱い夏にビーチリゾートで、楽しく過ごした際に、日焼けして、プールに飛び込んだ際の、顔に受ける“冷たい”刺激を、快感として、催眠状態で脳内体験してもらうのです。

そうすると、顔への冷たさは、脳が”快”の状態に見合うフィードバックを起こし、それに見合う弛緩的肉体変化、”快”気分、”涼しくて気持ちいい”感情が起こり、意識もそのように肯定的にとらえます。

脳内へ流入する”情報”は、異なる”連想”をつくることによって、その反応としての肉体的行動、感情変化を左右することが出来るのです。このような”無意識”な情報形成こそが、マーケティングでよく語られるブランドの本質であり、トラウマ形成と同じ仕組みであったりします。

 

西口一希